発表会(埼玉)


平井洋行先生による発表会の伴奏を、今年も務めて参りました。


平井先生は、東京藝術大学大学院をご卒業された、

とても優秀なクラリネット奏者です。



今回も、もはや発表会とは言えない充実した豪華な内容。

しかもこれを皆様が楽しんで行っているというレベルの高さに、私はいつも感動しています。



平井先生からも是非感想を、と仰って頂きましたので、

僭越ながら忘備録も兼ねて、伴奏視点から記させて頂きます。





演奏された皆様は、この1年でまた更に成長されており、驚きました。

特に平井門下は音が大変美しいので、いつまでも聴いていたい気持ちになります。



以前は緊張していた方が、どんどん楽になって、様々な表現ができるようになったり

以前は1曲でも大変だった方が、数曲をこなしテクニックも断然ついていたり、

何より舞台を心待ちにし、自分を向上するべく舞台に臨んでいく姿、何かを掴もうとする姿は、とにかくものすごいプラスエネルギーでキラキラと輝いていました。


音楽を続けていくというのは大変なこともありますが、

なんという素敵な喜びを与えてくれるんだろう!!と感激していた次第です。



  写真:高橋眞澄さん(シューマン 幻想小曲集)



一緒にレッスンに参加して伴奏をしながら見ていると、平井先生は細かい曲想指示は殆どされておらず、

どうやら皆様の持っている音楽的な感性を「自然に」良い方へ引き出している様です。

クラリネットという楽器の特性もあるのでしょうけれど、この「自然」というのはとても難しいので、ピアノ学習者も是非、平井門下を聴きに行くと勉強になると思います。




終演後、皆様それぞれの感想がありましたが、

「もっと色々と表現したかった」「今の感情は出せたように思う」と、表現に重点を置かれた反省が殆どだった事についても、私は感心していました。


基礎を学び、テクニックをある程度クリアした上での話なので、決して独りよがりではなく

1回1回のレッスンで先生の目指しているものが着実に皆様に積み重なっているのがわかりました。



それも、平井先生は言葉で細かく教えるタイプではないので、先生の「演奏」「音楽」を、

皆様は「耳」と「心」で感じとり、くみ取って、自分の中に消化していく、

その積み重ねがどんなに貴重で尊いか、

改めてレッスンの大切さ、音楽の大切な部分を見せて頂いたように思います。





第一部の終わりにバッハを演奏した小澤さんは、

平井さんと同様、プロのクラリネット奏者です。

今回発表会の話を聞いて、自ら意欲的に出演希望されたとの事。

多忙な大人にとってなかなか出来る事ではなく、しかもバッハの無伴奏曲という難曲にチャレンジするのは相当の時間や努力が必要です。

自分を切り開いていく勇気や努力を、心から尊敬致します。

大人の男性の、とても落ち着いた、隅々までよく考えられた素敵な演奏でした。




次回は、石井さんのアレンジ曲や、平井さんの「椿姫」の裏話(笑)なども

書きたいと思います。